堂上方どうじょうがた)” の例文
召使っている女中たちの中にも公卿風、これを堂上方どうじょうがたといっていました。それと大名の武家風とが互いにはっきりと言葉の先にも区別させていました。
私の思い出 (新字新仮名) / 柳原白蓮(著)
有難く、おうけいたすべきにはございましょうが、如何せん浅学で、堂上方どうじょうがたの御格式すらも、ようわきまえ申しませぬ。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
老伯爵は眼をいた。眼を剥く筈だ。花嫁が淫売姿で堂上方どうじょうがたへ乗込むなんて手は開闢かいびゃく以来なのだから……。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
まあ半分は堂上方どうじょうがたの風が身にみた長袖の亜流ありゅうに過ぎない。
「なあ坊主、おぬしなどはずるい奴じゃぞ。——今の世の中で狡い人間は坊主、賢い者は町人、強い者は武家、おろかしき者は堂上方どうじょうがた。……アハハハ、そじゃないか」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
久能の出入り先で今大路いまおおじという堂上方どうじょうがたの家に綾姫あやひめという小鼓に堪能な美人がいた。
あやかしの鼓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
堂上方どうじょうがたはいうに及ばず、諸侯のうちでも、識者とみずから任じおる面々でも、明国と問うても、どんな国がらか、また暹羅シャム呂宋ルソン天竺てんじくなどを訊ねても、どの辺か、どんな国か、皆目
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)