埋立地うめたてち)” の例文
例えば、芝浦しばうら埋立地うめたてちに、鉄筋コンクリートで出来た背の高い煙突えんとつがあったが、そこからは、一度も煙が出たことがないのを、附近の人は知っていた。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
芝浦しばうら埋立地うめたてちも目下家屋の建たない間は同じく閑地として見るべきものであろう。現在東京市内の閑地の中でこれほど広々とした眺望をなす処はにあるまい。
此時このとき市街地しがいち大部だいぶ沈下ちんかしてうみとなつたといふこともしるしてあるから、前記現象ぜんきげんしようおこつた場所ばしよあたらしい地盤ぢばんたりしに相違そういなかるべく、埋立地うめたてちであつたかもれない。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
雑草の生える埋立地うめたてちで、詩人の心を低徊ていかいさせ、人間生活の廃跡に対する或る種の物侘しい、人なつかしい、晩春の日和ひよりのような、アンニュイに似た孤独の詩情を抱かせるのである。
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)