地声じごえ)” の例文
旧字:地聲
徳さんという男の地声じごえを知らないので、半七は早速に作り声をするわけにも行かなかった。かれは頬かむりのままで無言にうなずくと、若い女は摺り寄って来た。
半七捕物帳:30 あま酒売 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
アンが、もうすこし低くしゃべってはと注意したが、その男の声は地声じごえとみえて一向いっこう低くならなかった。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
こんどは地声じごえで、人なき村のある軒先のきさきに立ち——こういったのは竹童ちくどうである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は署長の手帖の中身をスッカリ藁半紙わらばんしに書き写してしまってから、激しい地声じごえでまくし立てた。
人間灰 (新字新仮名) / 海野十三(著)
地声じごえか、声帯模写せいたいもしゃかはしらないが、声だけ聞いていると、なんのことはない、放送局の杉内アナウンサーと、区別のつかない程似た声音をもって居り、その音の抑揚よくように至っては
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「これはわしの地声じごえだ。どんなでかい声を出そうと、きみからさしずはうけない」
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)