脇坂わきざかの部屋を振りだしに榎坂えのきざか山口周防守やまぐちすおうのかみの大部屋、馬場先門ばばさきもん土井大炊頭どいおおいのかみ、水道橋の水戸みとさまの部屋というぐあいに順々にまわって、十日ほど前から
顎十郎捕物帳:07 紙凧 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
それで手前は武士のたねと云われるか、私も手前も、土井大炊頭どいおおいのかみの家来早川三左衞門はやかわさんざえもんの胤じゃないかい、私は子供の時分は清之進せいのしんと云うたが、どの人相見にせても
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
現に江戸初期の長崎貿易は、主として支那シナからの絹糸の買入れを目あてとしていたくらいで、かの土井大炊頭どいおおいのかみ糸屑いとくずの逸話が、読本よみほんにもっていて女たちもよく知っている。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
これは家康の落胤らくいんだと言われた土井大炊頭どいおおいのかみの如きは、ある年、その居城、下総の古河こがへ帰った時、前年までは見る影もなかった農民の家が、今は目に立つようになって来たとあって
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
いわずと知れた、土井大炊頭どいおおいのかみさまの御家中、なんてことはどうでもいい。いかにも御主家の名はうけたまわりますまい。おっしゃってくださらなくても結構。
顎十郎捕物帳:10 野伏大名 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
それ/″\の口書こうしょを以て時の御老中の筆頭土井大炊頭どいおおいのかみ様へ伺いになりましたから、御老中青山下野守あおやましもつけのかみ様、阿部備中守あべびっちゅうのかみ様、水野出羽守みずのでわのかみ様、大久保加賀守おおくぼかゞのかみ様と御評議の上
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
これは家康の落胤らくいんだといわれた土井大炊頭どいおおいのかみの如きは、ある年、その居城、下総の古河に帰った時、前年までは見る影もなかった農民の家が、今は目に立つようになって来たとあって
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)