四角よすみ)” の例文
その広い座敷がただ一枚の絨毯じゅうたんで敷きつめられて、四角よすみだけがわずかばかりはなやかな織物の色とうために、薄暗く光っている。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
作男さくをとこのぢいやに委細を呑込のみこませ、四角よすみに竹を打込むから、よしずをまはり三方と屋根へくごなはで結びつけるまでもしてらひ
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
下へおかれるやいな、高氏へびかかった。彼は身を交わしつつ、鎖の端を持って、勝負庭の四角よすみに立っている地鎮柱じちんばしらのぐるりをまろび転び逃げ廻った。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
へや四角よすみが寝ていられないほど明るくなって、外部そとに朝日の影がち渡ると思う頃、始めて起き上った津田のまぶたはまだ重かった。彼は楊枝ようじを使いながら障子しょうじを開けた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)