四沢したく)” の例文
レーマンこそは実に驚くべき歌い手だ。少しも嫌味でなく、品の良い情味で、春の水が四沢したくうるおすように、歌全体に輝きと潤いとそして淋しさを漂わせている。
忽然こつぜん、鼓の声が、四沢したく静寂しじまを破った。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雲の峰四沢したくの水のれてより
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
そしてチャイコフスキーの愛情のこまやかさが、あの前人未踏の涙の芸術を生み、すべての人の心に、四沢したくうるおす春の水のように沁々しみじみと行きわたるのであろう。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
雲の峰四沢したくの水のれてより
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
ビクターにはカサルスのがあり、これは、四沢したくうるおす春の水のような、行き届いた美しさと、豊かな輝きはあるが、優艶で人好きのする良さは、録音の新しいカサドもまた捨て難い。