くろ)” の例文
かの馬が飼料をくろうて、その品の性質を知らず、ただその口に旨きものはこれを取りて、然らざるものはこれを捨つるに異ならず。
物理学の要用 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
そうすれば、しまいに己は自分の過去を忘れ果て、一匹の虎として狂い廻り、今日のように途で君と出会っても故人ともと認めることなく、君を裂きくろうて何の悔も感じないだろう。
山月記 (新字新仮名) / 中島敦(著)
くろうて、税を納めて、余りあるほどな、前からの荘園もあったが、なお多くの奴婢、奴僕、田丁を使役し、上に、家人等の監督をおいて、限りない未開の原始林を伐り拓き、火田かでんを殖やし、沼を埋め
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「澱粉の三番粉でも雪の下から掘っくり返してくろうたらいいぞ」
飢えたる百姓達 (新字新仮名) / 今野大力(著)