喇叭ラツパ)” の例文
で、先づ先輩からといふので、その蓄音機をかけると、尾崎氏の吹込演説は感冒かぜを引いたやうなかすめた声で喇叭ラツパから流れて出る。
あや子 かうすんの? (と言ひながら、喇叭ラツパ飲みをしようとするが、思はしく行かない。徒らに唇を尖らすばかり)
村で一番の栗の木(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
毎日ひる近くなると、調子面白い喇叭ラツパの音を澄んだ山国さんごくの空気に響かせて、赤く黄く塗つた円太郎馬車が、南から北から、勇しくこの村に躍込んだものだ。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
それからずつと月日が立つて、父は還暦を過ぎ古稀こきをも過ぎた。父は上山町のとある店先で、感に堪へたといふ風で、蓄音機の喇叭ラツパから伝つてくる雲右衛門くもゑもんの浪花節を聞いてゐたことがある。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
喇叭ラツパのお鼻
朝おき雀 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
そのリイドは恐ろしく身体からだのがつしりした、とりわけ首根つこの太いので名高い男だつた。リイドがその太い咽喉元から喇叭ラツパのやうな声を出して演説でもすると
この日の朝喇叭ラツパが高く鳴ると、らゆる国の有らゆる時代の人民が皆神の玉座の前に引き出されて、現世でて来た行ひについて厳しい裁きを受けなければならぬと説いた。