品評しなさだめ)” の例文
現代の人がよく、桃井、千葉、斎藤の三道場の品評しなさだめをしたがるが、それとても、素人しろうとが格段をつけたがるほど、優劣があるべきはずはないという。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
女たちは、そこに置き忘れて行った敷島を吸いながら、客の品評しなさだめなどをし合っていた。この女たちも方々をわたり歩いて、いろいろの男を知っていた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
いまの能の品評しなさだめやする、ごうごうと鳴る客の中を、勢いよく売ありきて、やがてわが居たる桟敷さじききたりて
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何の品評しなさだめをしているのか、静には、その心がめなかった。
日本名婦伝:静御前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その前にたたずんだ数人の男女、役者の品評しなさだめに余念がない。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あのお嬢様より侍女こしもとの方が美しい、奥様のうちでは身分は少し軽いけれども、結局あの奥様がいちばんの別嬪べっぴんだなどと、品評しなさだめをしていたのがこの時
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
お島とついの着物をお花にこしらえるために、そこへ反物屋を呼んで、がら品評しなさだめをしたりしたが、仕立あがった着物を着せられた二人の娘は、近所の人の目には、双児ふたごとしかみえなかった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)