-
トップ
>
-
吉坊
>
-
よしぼう
吉坊は、
両手を
頭の
上にのせて、
清ちゃんがあちらへゆけば、その
方を
見送り、こちらへくればまた
目を
放さずに、
迎えていました。
「そうすれば、
徳ちゃんと三
人で
走りっこをしよう。」と、
清ちゃんは、
吉坊の
心なんかわからず、
朗らかでありました。
「ばかめ、
自転車の
後をおっかけるなんて、二、三
日したら
自転車を
買ってやるぞ。」と、その
夜、
父親は、
吉坊の、
頭をなでながら、いいました。