口子くちこ)” の例文
「さっきから、あすこに、水の中にひれしておりますのが私の兄の口子くちこでございます」と、口媛くちひめは涙をおさえてお答え申しました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
かれこの口子くちこおみ、この御歌を白す時に、大雨降りき。ここにその雨をもらず、前つ殿戸とのどにまゐ伏せば、しりつ戸に違ひ出でたまひ、後つ殿戸にまゐ伏せば、前つ戸に違ひ出でたまひき。
口子くちこおそる怖るそちらがわにまわって平伏しました。そうすると皇后はまたついと前の方の戸口へ来ておしまいになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
また續ぎて丸邇わにの臣口子くちこを遣して歌よみしたまひしく
そのとき皇后のおそばには、口子くちこの妹の口媛くちひめという者がおつかえ申しておりました。口媛くちひめはおにいさまのそのありさまを見て
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)