叙述じょじゅつ)” の例文
父はその男をこう荒っぽく叙述じょじゅつしておいて、その男とその家の召使とがある関係に陥入おちいった因果いんがをごく単簡たんかんに物語った。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
少なくとも、その叙述じょじゅつの半ばに近い部分がそれに費されていることは、いなみがたいことのように思える。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
と三輪さんも主人公の頭顱あたま久濶きゅうかつ叙述じょじゅつに利用した。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
あばくのにしのびないけれどもこの前後の伝の叙述じょじゅつは故意に曲筆しているものと見るほかはない彼が偶然白内障になったと云うのもに落ちないしまた春琴がいかに潔癖でありいかに盲人の思い過しであろうとも天稟の美貌を
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)