反古籠ほごかご)” の例文
くしゃくしゃになった敷島の殻を反古籠ほごかごに投げ込んで、ぬぎすてた着物も畳んだ。室が乱れていないのを見て、ほっと安心した。
或る少女の死まで (新字新仮名) / 室生犀星(著)
襤褸ぼろ商人の家の二階の格子窓こうしまどの前の屋根の上に反古籠ほごかごが置いてあって、それが格子窓にくくりつけてある。何のためか分らぬ。
車上の春光 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
見ると寝椅子の上に古綿ふるわたのやうなものがあるので、ぶつ/\言ひながらそれを引つ掴むで反古籠ほごかごのなかにり込んだ。
しかしこの名刺は純一の為めに、引き裂いて棄てたり、反古籠ほごかごに入れたりする程、無意義な物ではなかった。少くも即時にそうする程、無意義な物ではなかった。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
妻が外務省の反古籠ほごかごの中から拾い集めておりました色々な報告によりまして(これもM男爵の所謂逆手段であったかも知れませぬが)満洲王張作霖ちょうさくりんは、決してコンドル、及び
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
『ほととぎす』落掌、まず体裁のママ外によろしく満足致しそうろう。実は小生は今少しケチな雑誌ならんと存じ「反古籠ほごかご」なども少き方よろしからんとわざと少く致し候ところ甚だ不体裁にて御気毒にぞんじ候。
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)