卜者うらないしゃ)” の例文
あのはただ汚い変な乞食、親仁おやじ、あてにならぬ卜者うらないしゃを、愚痴無智の者がけだものを拝む位な信心をしているとばかり承知をいたしておりましたので
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「許都に、うらないの上手がいたな。どうも今度の病気はちとおかしい。ひとつ卜者うらないしゃに見てもらおうと思うのだが」
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
男は剣難の方がまだ男らしいじゃないか、この児は色が白うて弱々しいからそれで卜者うらないしゃから女難があると言われたのじゃ、けれども今から女難もあるまい、早くて十七八、遅くとも二十はたちごろから気を
女難 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
いきなり彼女の故郷へ踏みこんでいって、町中まちなかに宿を取って、ひそかに動静を探ってみようかなぞとも考えたり、近所に住んでいる友人と一緒に、ある年取った坊さんの卜者うらないしゃに占ってもらったりした。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「こら、卜者うらないしゃ、予は必ず、末森へ向うぞよ。そのつもりで、心してえきを立てい」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)