南葵なんき)” の例文
ほかに南葵なんき文庫と、さる高貴の方の御蒐集の中にあるのを拝見したことがあるが、まだ幾枚かは諸方に散っていることであろう。
思い出してみれば、どうにも心の動きがつかなかったような日が多かったなかにも、南葵なんき文庫の庭で忍冬すいかずらの高い香を知ったようなときもあります。
橡の花 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
諸家のうちでも、戸川残花とがわざんかさんはわたくしのために武田信賢たけだしんけんさんに問うたり、南葵なんき文庫所蔵の書籍を検したりしてくれ、呉秀三くれしゅうぞうさんは医史の資料について捜索してくれ
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
紫は南葵なんきの花であり、あかきは唐桃の花であり、黄なるはオランダ美女草の花で、それらの薬草の花の敷物を、ぬきんでて空にそびえている木々の葉は紅葉し黄葉して、エメラルド色の空を飾り
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
かつて南葵なんき文庫のレコード・コレクションもこの方法を採用していた。さる宮家でも、このカード式によって整理されている由うけたまわっている。放送局でも有坂氏がこの式に拠っているらしい。