卑湿ひしつ)” の例文
長門ながとは山陽の西陬せいすう僻在へきざいす、しこうして萩城連山のきたおおい、渤海ぼっかいしょうに当る。その地海にそむき山に面す、卑湿ひしつ隠暗。城の東郊は則ち吾が松下村なり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
またかまどひるへび寝床ねどこもぐ水国すいごく卑湿ひしつの地に住まねばならぬとなったら如何であろう。中庸は平凡である。然し平凡には平凡の意味があり強味つよみがある。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
氾濫はんらん卑湿ひしつの不愉快を避けるためには、人はいわゆる「朝日の直指たださす国、夕日の日照ひてる国」をえらばねばならなかった。しかも日本人は最初から稲を栽培する民族である。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)