半途なかば)” の例文
船に乗りて渡ること半途なかばにして眼を放てば、晴れたる日は川上遠く筑波を望むべく、右に長堤を見て、左に橋場今戸より待乳山を見るべし。
水の東京 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
日頃の主君に徴しても、いかにここまでの統業を半途なかばにして世を去ることの残念であったかをも、惻々そくそく胸にむことが出来た。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
我が先へそなたは後にと兄弟争ひせめいだ末、兄は兄だけ力強く弟を終に投げ伏せて我意の勝を得たに誇り高ぶり、急ぎ其橋を渡りかけ半途なかばに漸く到りし時
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
我が先へ汝は後にと兄弟争いせめいだ末、兄は兄だけ力強くおととをついに投げ伏せて我意がいの勝を得たに誇り高ぶり、急ぎその橋を渡りかけ半途なかばにようやくいたりし時
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)