半夜よなか)” の例文
亥刻よつ半といふと半夜よなかだが、御主人は何んだつて、そんな場所へ行つたんです。話の樣子では、灯も無かつたやうだが」
何かの拍子で眠れなかった時、病人のうなるような声をかすかに聞いたと思い誤ったわたくしは、一ぺん半夜よなかに床を抜け出して、念のため父の枕元まくらもとまで行ってみた事があった。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
明治二年七月八日発行の明治新聞と云うのに、浜田藩の淀藤十郎と云うのが、古著屋ふるぎやからであろう、蚊帳かやを買って来て、それを釣って寝たところで、その夜の半夜よなか頃、枕頭へ女の姿があらわれた。
女の出る蚊帳 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
更け行く半夜よなかの影を惜み
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)