升屋ますや)” の例文
撞木町の升屋ますやの提灯をさげた若い者が、駕籠を連ねて、迎えに出ていた。おんなたちは、それへ乗ったが、内蔵助は、酔眼すいがんをみはって
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この大河今蔵いまぞう、恐らく今時分やはり同じように噂せられているかも知れない。「時に大河はどうしたろう」升屋ますやの老人口をきる。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
彼は、素直すなおに伝右衛門の意をむかえて、当時内蔵助が仇家きゅうか細作さいさくを欺くために、法衣ころもをまとって升屋ますや夕霧ゆうぎりのもとへ通いつめた話を、事明細に話して聞かせた。
或日の大石内蔵助 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
升屋ますやというは眺望の好い温泉宿だ。湯川の流れる音が聞える楼上で、私達の学校の校長の細君が十四五人ばかりの女生徒を連れて来ているのに逢った。この娘達も私が余暇に教えに行く方の生徒だ。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
升屋ますやかけはまだ寄越さんかい。」
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『おいらは毎晩逆上のぼせる薬を四合びんへ一本ずつ升屋ますやから買って飲むが一向鉄道往生おうじょうをやらかす気にならねエハハハハ』
郊外 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
校舎落成のこと、その落成式の光景、升屋ますやの老人のよろこぶ顔までが目に浮んで来る。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)