勘考かんこう)” の例文
などと年来の功をあんじ、或いは日頃の人物に勘考かんこうして、留守中の諸士にたいする恩賞の要務をっているのだった。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「とくと、勘考かんこうつかまつりますが、府内ふないへ到着するまでには、だ未だ余日よじつもあること。到着の上にて——」
大岡越前の独立 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
与吉もとんと勘考かんこうがつかねえんだが、ウヘエッ! ぶらりと小金井に来ていやしてねえ、それからズウッととんだお荷物のしょいづめでございましたよ、いえ、全く
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
勘考かんこうの時間を刻込んで居ると、やっぱりあの位の若い綺麗なのがと云って、内儀はもはや事極ったように立って行ったが、ほどなく婢から花次はなじさんが参りますと告られた。
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
この処深く御勘考かんこう遊ばされ、幕府諸藩を心服さする御処置急務と存じたてまつり候。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
斯く無造作に書並べて教うれば訳けもなきようなれども、是れが人間の天性に於て出来ることか出来ぬことか、人間普通の常識常情に於て行われることか行われぬことか、とく勘考かんこうす可き所なり。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
泰親は眼をとじてしばらく勘考かんこうしていたが、やがて又しずかに言った。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「チェッ、奴らまだいやがる。乱暴狼藉ろうぜきの仕放題。畜生ほんとにムカムカするなあ。どうかしてやらなけりゃあ気が済まねえ。これまでにした店だって、きゃつらのおかげでさびれてしまう。……あねご、勘考かんこうはあるまいかね」
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)