動物いきもの)” の例文
たとえば恩を知る動物いきものが人の手から放たれでもしたようである。やがて振り返り振り返り、あかつきまだき史家村から元の少華山へ立ち去った。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とたんに左右から二つの岩が轟然と憤怒いかりの叫びを上げ、動物いきもののように衝突ぶつかって来たが、わずかに舟尾ともに触れたばかりで舟も人も無事であった。
動物いきものの言葉がよくわかる子供ですから、動物に好かれて仕方がありません、蛇でも鳥でも、あの子を見ると、みんな友達気取りになって傍へ寄って来るし、当人もまた動物が大好きなんですから
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そこには見渡みわたかぎうまばかりで、ほか動物いきものひとつもりません。
すると丸薬は動物いきもののように、茶椀の内側を廻わり出したが、たちまちポンと躍り上がり、高い天井の板を打った。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)