動揺どよみ)” の例文
旧字:動搖
わ、と立騒ぐ群集ぐんじゅの中へ、丸官の影は揉込もみこまれた。一人かれのみならず、もの見高く、推掛おしかかった両側の千人は、一斉に動揺どよみを立て、悲鳴を揚げて、泣く、叫ぶ。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
天地あめつちに響くがごとく、はた古戦場を記した文に、ことごと調しらべがあって、章と句とひとしく声を放って鳴くがごとく、何となく雲が出て、白く移り行くに従うて、動揺どよみを造って、国が暗くなる気勢けはいがする。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)