効能きゝめ)” の例文
旧字:效能
湯の温度は百六十三度乃至ないし百五度ぐらいで、打撲うちみ金瘡きりきずは勿論、胃病、便秘、子宮病、僂麻質私りょうまちすなどの諸病に効能きゝめがあると申します。
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
矢張佐渡の惚薬ほれぐすり効能きゝめで幅を利かせる方だから之で邸の嬢様を落さうと云ふは飛んでもない心得違ひだ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
けれども一向効能きゝめがなかつた。何が入つたものか、眼球にとげでもさゝつたやうな痛さだつたが、何だかお信さんが却つてそれを奥深く突き刺したのではないかと思はれさへした。
乳の匂ひ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
何んだ、この藤田重右衛門が駐在所の巡査なんか恐れやしねえ、何んだ村の奴等ア、喞筒ポンプなんて、騒ぎやがつて、それよりア、この重右衛門に、おみきでも上げた方が余程効能きゝめがあるんだ。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
草をむしったような誠に効能きゝめの薄いようなものを呑ませるうちに、ついに息も絶え/″\になり、八月上旬はじめには声もしゃがれて思うように口も利けんようになりました。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お医者も手に手を尽して種々いろ/\の妙薬を用いるが、どうも効能きゝめが薄いことで、大殿様はお加減の悪い中にまた御舎弟紋之丞様は、只今で云えば疳労かんろうとか肺労とかいうような症で
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
尋常たゞの死にようではない、余程効能きゝめの強い毒酒ではないかと、依田豊前守様の白洲へ持出したが御奉行が其の酒を段々お調べに成り、医者を立会たちあわして見ると、一ト通りならん処の毒薬で
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)