つんざか)” の例文
積悪の応報覿面てきめんの末をうれひてかざる直道が心のまなこは、無残にもうらみやいばつんざかれて、路上に横死おうしの恥をさらせる父が死顔の、犬にられ、泥にまみれて、古蓆ふるむしろの陰にまくらせるを、怪くも歴々まざまざと見て
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
秘密の雲は、春を射る金鎖の稲妻で、なかばつんざかれた。眠っていた眼をさましかけた金鎖のあとへ、浅井君が行って井上の事でも喋舌しゃべったら——困る。気の毒とはただ先方へ対して云う言葉である。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)