劇場しばい)” の例文
「あら、貴郎あなたも新聞を読んだくせに。先晩劇場しばいの幕間にあんなに詳しく読んだではありませんか。それに今朝だって発つ前にも……」
あの着物を買いたいの、此処へ往って見たいとか劇場しばいきたいとか種々いろ/\云い出して、チン/\をするくらい無理なのはありませんよ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
もちっとあとのことで、九女八はこの大阪から帰ってから後、大正二年の七月に、浅草公園の活動劇場しばいみくに座で、一日三回興業に、山姥やまうば保名やすなを踊り、楽屋で衣裳いしょうを脱ごうとしかけて卒倒し
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
都合をして、定子阿魔あまの顔さえ見せておくんなさりゃ、日本橋でも、万世橋でも、電車の中でも、劇場しばいでも、どこでもかまわないッていったそうでさ。するとお夏さんの方は覚悟があるから
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
劇場しばいで女が切殺される時、きゃアとかあれイとか云うが、そんな事を云ったっておめえには分らねえが、すごいものだ、己も怖かった
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
劇場しばいでいたす廻り舞台のようにぎゅーとひらきまして、不思議のことゝあとへ下りますと書棚の下に階梯はしご降口おりくちがありまして、あゝこんな所に階梯の降口はない筈だが