割腹かっぷく)” の例文
と、手分して尋ねて来ると、今し泥舟は割腹かっぷくしようとしている態なので、あっと、人々は仰天して左右から彼の身へ飛びついた。
剣の四君子:04 高橋泥舟 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
このたびの儀は、備前家来日置帯刀へきたてわきに謹慎を申し付け、下手人滝善三郎に割腹かっぷくを申し付けたから、そのことを各国公使に告げるよう勅命をこうむった、としたためてある。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
黄昏たそがれの頃、独りで、裏山の亡母ははの墓前へ行って、好きな横笛を吹いていたと思うと、その笛の音が途切れた頃、彼は、草の上に坐って、割腹かっぷくしていた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
生き残った者も、割腹かっぷくしていた。——が、新介の死骸はなかった。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、死後の処置まで命じ終ると、すぐ正坐して見事に割腹かっぷくした。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
前代未聞な割腹かっぷくである。
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)