剥啄はくたく)” の例文
夏五月には田能村竹田たのむらちくでんが水西荘に来り宿した。「重叩柴門感曷勝。一声認得内人譍。」剥啄はくたくの声に応ずるものは、門生にあらず、婢僕ひぼくにあらず、未亡人里恵であつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
嘴を研ぐ微かな剥啄はくたく 日もすがら私の思想を慰める
山果集 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
抽斎はたちま剥啄はくたくの声を聞いた。仲間ちゅうげん誰何すいかすると、某貴人の使つかいだといった。抽斎は引見した。来たのは三人のさぶらいである。内密にむねを伝えたいから、人払ひとばらいをしてもらいたいという。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)