前金ぜんきん)” の例文
又一つの年季と申しますると、一年も三年もあるいは七年も八年もございますが、何十円と定めまして、其の内前金ぜんきんります。皆手金の前借が有ります。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「続金色夜叉といへば、どこの本屋でも屹度ふるひつきますから事情を話して本屋から前金ぜんきんを借り受けるんですね。えゝ、貸しますとも、それは屹度貸しますよ。」
それから事務所じむしよつていままでゐたんですが、施療せれう村役場むらやくば證明書しようめいしよのない患者くわんじやには絶對ぜつたいにできない規定きていだといふんです。だから十ぶん入院料にふゐんれう前金ぜんきん即時そくじをさめろといふんです。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
まア此処こゝで、三年も奉公して行きますからお願い申しますといって、証文の取極めをして、前金ぜんきんも借りて来てあるのだから、是から行って麹屋で稼ぎ取りをして行こうと思うのだ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
荒井町あらいまち秋田穗庵あきたすいあんさんと云うお医者様に診て戴きましたが、真珠の入る薬を付ければ治るけれども、それは高いお薬で貧乏人には前金ぜんきんでなければられないと仰しゃいましたけれど
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)