前肢ぜんし)” の例文
そして、武松の顔の辺で、ゴロ、とのどを鳴らし、前肢ぜんしを突っ張ったせつな、今にも何かの行動に出そうな爪牙そうがの姿勢をピクと見せた。けれど、虎はそれにも出なかった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
開いた前肢ぜんしあざけり嘲り、巨躯を掻き、またはたきうつ後肢こうしひれ
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
人よりも勘のするどい馬は、早、前肢ぜんしを突っぱって、後ずさりした。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)