前句まえく)” の例文
という有名な一続きがあるが、前句まえくが向いの亭主、受句うけくが十夜だからこのから臼は、粉挽臼こなひきうすであることが察せられる。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
まず、ひとりが起句きくを詠むと、次の者が脇句わきくをつける。また受けて前句まえくを出すと、他の者が下の句を附けてゆく。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
口までが儼然きっとむすばれて、どうしてと再び問返した語気は全く変って居たけれども、訳を知らぬ花次が気の附くはずはなく、ほんとにおかしいんですよとほとんど火を附けるような前句まえく
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
とにかく次の北枝の附句つけくでは、是を上流の未亡人などの、おっとにおくれて無常を観ずる者に取っているから、前句まえくの表現はかえって一応は女の名と解せられたものと見られる。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)