切布きれ)” の例文
それから冷水を取らして切布きれに浸し、その頭を冷しながら非常に首筋なり脳なりへ圧迫力を加えて居りますと二十分ばかりもたちましたころ
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
日本の墨壺すみつぼと云うのは、磨た墨汁すみ綿わた毛氈もうせん切布きれしたして使うのであるが、私などが原書の写本に用うるのは、ただ墨を磨たまゝ墨壺の中に入れて今日のインキのようにして貯えて置きます。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
犯人はこの前掛けの端をむしり取ってそれで手とナイフを拭いた。きながら歩いたものとみえる。さして遠くないグルストン街の角に、その、血を吸って重くなったエプロンの切布きれが落ちていた。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
其帳それを引き上げて内に入るとまた庭があって、その庭の横口が即ち客室でシナ風の障子に白い切布きれを張り、そのまんなかに硝子ガラスを入れてある。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
かねて釈迦牟尼如来しゃかむににょらいが戒法をお立ちになった中にもし水の中に虫が居たならばその虫を切布きれして飲めというお教えのあった事を思い出して
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)