切々せつ/\)” の例文
かう考へて、寢雪の切々せつ/\と降りしきる音を聽きながら、義雄はぼんやりと横になつてゐる。午後十一時の時計を數へた。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
その二音の繰返しが十度び位ゐも切々せつ/\として繰返さるゝと、合の手見た樣に僅かに一度、もう一音を加へて三音に啼く。それをこぢつけて佛法僧と呼んだものであらう。
鳳来寺紀行 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
けいに沿ふて猶進むこと數歩、路は急に兩傍りやうはうより迫れる小丘陵の間にりて、溪聲俄かに前に高く、鏜鏗だうかうたる響はた以前の嘈々さう/\切々せつ/\たるに似ず、いぶかりつゝも猶進めば、兩傍の丘陵は忽ち開けて
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)