出離しゅつり)” の例文
それは尊い追究だ。かれのえらんだ道も、誤りではない。だが、自分の道とは、まったくちがう。同じ、人間の悩みから、出離しゅつり
釈迦は出離しゅつりの道を求めんがため檀特山だんどくせんなづくる林中に於て六年精進しょうじん苦行した。一日米の実一つぶ亜麻の実一粒を食したのである。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
名聞利養みょうもんりようが如何ばかり向上するとても解脱げだつ出離しゅつりの道を示してはくれない。学問が深くなり、名誉が高くなるにつれて、彼の心の煩悶は増して来た。
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
当時西行にひとしい思いを胸に秘めた人々は公家の間にも多くあったろうし、彼もしばしば出離しゅつりを人にすすめている。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
自分はなんというふがいなさであろうと恥ずかしくてなりません。一身だけでは何でもなく出離しゅつりの決心はつくのでございますが、周囲を顧慮いたします点で実行はなかなかできないことでございます
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
少年にして、早くも出離しゅつりの心を起したのは誠にこれ法然道理のひじりであると慈眼房叡空は随喜して、法然房と号し、実名は最初の師源光の上の名と叡空の下の字をとって源空と名をつけられた。
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
心のきよきこと水の如くにて、わざわいかえって、出離しゅつりの縁かと覚え候……。