出物だしもの)” の例文
出物だしものは、例に依つて日本側とロシア側の司令官の肖像幻灯にはじまり、無名戦死者の名前が無数に列挙された。そして順次に、両国の軍隊の輸送の光景を撮つた断片的の活動写真が映写された。
サクラの花びら (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
ようやくほっと安心するのは、楽手たちが席についてからであった。それでもまだ彼は、幕が上がって、ある晩のように、出物だしものを変えると述べられはすまいかと、最後の瞬間まで心配していた。
見たりし盆興行は団菊両優は休みにて秀調しゅうちょう染五郎そめごろう家橘かきつ栄三郎えいざぶろう松助まつすけら一座にて一番目は染五郎の『景清かげきよ中幕なかまくは福地先生新作長唄所作事しょさごと女弁慶おんなべんけい』(秀調の出物だしもの)二番目家橘栄三郎松助の「玄冶店大喜利げんやだなおおぎり」家橘栄三郎の『女鳴神おんななるかみ常磐津ときわず林中りんちゅう出語でがたりなりき。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
開演は一週に三度で、晩の六時から九時までだった。ジャン・ミシェル老人は一度も見物を欠かしたことがなく、どの出物だしものにたいしても同じ興味を示していた。一度孫をいっしょに連れてってやった。