出来合できあい)” の例文
旧字:出來合
第一、西洋の帳面を摸製するにやすく、あるいは摸製せざるも出来合できあいの売物もあり。第二、文字こまかに帳面薄くして取扱に便利なり。
小学教育の事 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
逃げた女の出来合できあい文句よ、あっちへ行って肘をくったから、こっちへコロコロ戻りますなんて、そうは問屋でおろさねえ
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ベッドにしろ、出来合できあいではあったけれど、馬鹿馬鹿しく高価な品を、惜し気もなく買入れた。
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
椿岳は着物ばかりでなく、そこらで売ってる仕入物しいれものが何でも嫌いで皆手細工てざいくであった。紙入かみいれや銭入も決して袋物屋の出来合できあいを使わないで、手近てぢかにあり合せた袋で間に合わしていた。
今取り出して来たという風に、出来合できあい以上のうまさがあるので、紋切形もんきりがたとは無論思わないけれども、幾代いくだいもかかって辞令の練習を積んだ巧みが、その底にひそんでいるとしか受取れなかった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そうして、やかましい饒舌じょうぜつむなしい多言は、幻影を実有のごとくに語るのである。しかし、我々はかかる「出来合できあい」の類概念によって取交される flatus vocis に迷わされてはならぬ。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
後には手数を省くためニのような出来合できあいのシャパロンが出来た。