凸出とっしゅつ)” の例文
「君、米沢君は喉仏が段々凸出とっしゅつして来るだろう? あれは始終胸倉を取られる影響だよ。小突かれる度に当るから、自然に軟骨が発達する」
髪の毛 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
どうかすると、後ろから揉み出された人波の凸出とっしゅつに、先駆の儀仗兵の馬が刎ねたりして、御馬車が行きよどんだりするのである。
すなわち、前面が凸出とっしゅつする点の速度が減じ、凹入おうにゅうした点の速度が増し、かくして自動的に調節が行なわれ、その結果として始めて円形が保たれるものと思われる。
自然界の縞模様 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
右から来る矢をカワすべくくびを左へじた途端に、矢は顔の右半面をさっとかすって、そこに凸出とっしゅつしていた肉片の幾分と軟骨とを、———つまり、彼の右の耳朶みゝたぼを、———さらって行った。
こんな敵地ふかく凸出とっしゅつして、千曲、犀川の二大河をまたぎ、ほとんど孤塁にひとしいこの山に拠って、いったい如何なるいくさをなさろうと遊ばすのか、お館のお胸を推しはかりかねておる。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)