“凪(や)” の例文
昨日まで吹きすさんでいた西風がけろりと凪(や)んで、珍らしく海が凪(な)いでいた。静浦の沖には、無数の漁船が日光を享楽している水鳥の群のように点々と浮んでいる。
犠牲者 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
風(かぜ)は凪(や)んでも雨(あめ)にも成(な)らず……激(はげ)しい暑(あつ)さに寢(ね)られなかつた、唯吉(たゞきち)は曉方(あけがた)に成(な)つてうと/\するまで、垣根(かきね)一重(ひとへ)の隔(へだ)てながら、産聲(うぶごゑ)と云(い)ふものも聞(き)かなかつたのである。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)