凡者ただもの)” の例文
さっき、隅の小屋から足を洗いに飛び出した若い男のつらがまえは、ちらと火影ほかげに見ただけであるが、到底、凡者ただものまなざしではなかった。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勿論、凡者ただもの所業しわざではない、夕方、横川をわたって飯室谷いいむろだにへかかった天城四郎とその手下どもの襲ったことから始った事件であった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いったい、わが顔良ほどな豪傑を、たやすく討ち取った敵とは、何者だろう。よも凡者ただものであるまい」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(あの童子は、凡者ただものともおぼえない。どこへ参るのか、身の上を聞いてやれ)と、従者にいった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
道理で、貴様の面がまえは、凡者ただものでないはずだ。県軍のまわし者でなければ、洛陽の直属の隠密か。いずれにしても、官人だろうてめえは。——さ、泥を吐け。いわねば、痛い思いを
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(あの衆は皆、どこか変っているぞ。凡者ただものではなかろう)
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ごんっ。気をつけいよ、その相手は、凡者ただものでないぞ!」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「関にかかった敵は凡者ただものともおぼえぬぞ」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(——これは凡者ただものでない)と。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)