冥途よみぢ)” の例文
「あの通りで、まことに困つてをります。いくら何んでも、泣き過ぎては、娘の冥途よみぢさはりになるからと、向うへ追ひやつても、また直ぐ戻ります」
かんなを持つては好く削らんことを思ふ心の尊さは金にも銀にもたぐへ難きを、僅に残す便宜よすがも無くて徒らに北邙ほくばうの土にうづめ、冥途よみぢつとと齎し去らしめんこと思へば憫然あはれ至極なり、良馬しゆうを得ざるの悲み
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)