冠者かんじゃ)” の例文
「自分の参る番であったが、渋谷殿を誘うて来た道の都合で、箱田の冠者かんじゃに行ってもろうた。もうやがてお連れして見えるだろう」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
石巻の宿まであずけ置いたということだったが、そうだ、何といったかな、その宿の名は——そうそう、田代の冠者かんじゃで覚えている、田代屋というのだ、その石巻の田代屋というのへ
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
さて約束はきまった、権右衛門どのは猿面冠者かんじゃが太閤になったような大恐悦で
曰く、暮春ぼしゅん春服既に成り、冠者かんじゃ五、六人、童子どうじ六、七人を得て、(水の上)に沿(浴)い舞雩ぶう(の下)にいたり詠じて帰らん。夫子喟然きぜんとして嘆じて曰く、吾は点にくみせん。三子者出でて曾皙そうせきおくる。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
「これは、毛利冠者かんじゃ頼隆と申されて、あなた様の亡父ちち義朝公の伯父君にあたるお方の遺子わすれがたみでおせられる」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
番の武士にどなられると、二十歳はたちばかりの小づくりな冠者かんじゃ
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
六浦むつら冠者かんじゃ一郎丸」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)