円蓋ドーム)” の例文
旧字:圓蓋
ところが、法水のりみずはすぐ鼻先の拱廊そでろうかへは行かずに、円廊を迂回して、礼拝堂の円蓋ドームに接している鐘楼階段の下に立った。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
窓をおし開けて見ると、昇降場の磨硝子の円蓋ドームには水蒸気が白くたち罩め、その天井の高いところから、絶えず滴がたれ落ちていた。大気は湿って、寒かった。竜太郎は、思わず、身慄いした。
墓地展望亭 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
枝々の群は、一つの途方もなく大きな円蓋ドームだ。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
そして最後に、指紋の無効果と、円蓋ドームには烈風と傾斜とでみぞれの堆積がないこと——などで、すべてが空しかった。
聖アレキセイ寺院の惨劇 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
いつかの日彼等の薔薇ばら色であった円蓋ドームの上には、政治的にも軍事的にも命脈のまったく尽きたロマノフのわしが、ついに巨大な屍体しかばねを横たえたのであるが、その矢先に
聖アレキセイ寺院の惨劇 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
さてここで、鐘鳴器カリリヨン室の概景を説明しておく必要があると思う。前篇にも述べたとおり、その室は礼拝堂の円蓋ドームに接していて、振鐘ピールのある尖塔の最下部に当っていた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「床から円蓋ドームの頂点までが五メートルぐらいか、それから鐘までも同じぐらいあるだろう。」
聖アレキセイ寺院の惨劇 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)