内行ないこう)” の例文
自分がじかに彼に会った時の印象とをまとめて考えて見ると、けっしてそんな人の悪そうな男とも思われないので、たとい他人の内行ないこうさぐりを入れるにしたところで
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
主人の内行ないこう修まらざるがために、一家内に様々の風波を起こして家人の情を痛ましめ、以てその私徳の発達を妨げ、不孝の子を生じ、不悌ふてい不友ふゆうの兄弟姉妹を作るは
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
と事務長は木村の内行ないこうを見抜いて裏書きするように大きな声でいった。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
しからばすなわち、今の日本政府を日本国民一種族の集合体として、この集合体ははたして徳義の叢淵そうえんにして、ことに百徳の根本たる家の私徳を重んじ、身の内行ないこうを厳にして
読倫理教科書 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
故に今日の日本男子にして内行ないこうの修まらざる者は、単に自家子孫の罪人のみにあらず、社会中の一人として、今の天下に対しまた後世に対して、その罪まぬかるべからざるものなり。
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
人生の身体とその精神と、いずれをも軽しとしまた重しとすべからざるはいうまでもなきことにして、今内行ないこうの不取締は、人倫の大本たいほんを破りて先ず精神を腐敗せしむるものなり。
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)