六郷川ろくごうがわ)” の例文
面白くはやりし一座もたちましらけて、しきりくゆらす巻莨まきたばこの煙の、急駛きゆうしせる車の逆風むかひかぜあふらるるが、飛雲の如く窓をのがれて六郷川ろくごうがわかすむあるのみ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
そして坂上でちょっと馬を止めて「唯今ただいま六郷川ろくごうがわを挟んで彼我ひが交戦中であるが、何時いつあの線が破れるかもしれないから、皆さんその準備を願います」
流言蜚語 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
こうして葉子にとっては長い時間が過ぎ去ったと思われるころ、突然頭の中を引っかきまわすような激しい音を立てて、汽車は六郷川ろくごうがわの鉄橋を渡り始めた。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
第二は隅田川中川なかがわ六郷川ろくごうがわの如き天然の河流、第三は小石川の江戸川、神田の神田川、王子の音無川おとなしがわの如き細流さいりゅう、第四は本所深川日本橋京橋きょうばし下谷したや浅草あさくさ等市中繁華の町に通ずる純然たる運河