“六足(むあし)” の例文
『この、空を持ち上げているという小仕事さえなければ、わしが海を五足(いつあし)か六足(むあし)で渡って行って、それをお前に取って来てやるんだがなあ。』
と斉(ひと)しく前へ傾きながら、腰に手を据えて、てくてくと片足ずつ、右を左へ、左を右へ、一ツずつ蹈(ふ)んで五足(いつあし)六足(むあし)。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と思う存分の気焔を上げて、悠然と五足(いつあし)六足(むあし)引き揚げて来た——その刹那である。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
並んで歩行(ある)いていた僕の手を、ちょいと握って、そのまますたすたと、……さよう、六足(むあし)ばかり線路の方へ駈(か)け出しておいでなさる、と思うと、よろよろとなすったようだから
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)