入船いりふね)” の例文
もっとも渋をいた厚紙で嵌込はめこみおおいがあって、それには題して「入船いりふね帳」。紙帳も蚊帳もありますか、煎餅蒲団せんべいぶとんを二人で引張ひっぱりながら、むかし雲助の昼三話。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
五月雨の降っておる海岸か、もしくは川っぷちに在る遊女町のことを言ったので、出船でふね入船いりふねのあるその船路に近い遊女町は、五月雨の鬱陶しい中にもなお絃歌の声が聞えておる。
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
この週期的活気・海と陸との呼応・みなとのざわめきによって早くからきょうガルシア・モレノの入船いりふねを感づいた僕は、仲間パルのリンピイから預ったしっぷ・ちゃんケイスをすっかり用意して、それでも