允可いんか)” の例文
大藩黒田侯の御取済によって、地方の神社祭事に是非とも奉納しなければならぬ神曲「翁」の允可いんかを受けたものであろう。
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
「一昨日であったが、横山が妻女のはなしだといって、お前にはもう間もなく允可いんかがさがるだろうと申していたが、そのようなはなしがあるのか」
日本婦道記:梅咲きぬ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
つまり、雪之丞によって、浪路をうごかし、広海屋よりも一あし先に御用允可いんかのはこびをうけたいのである。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
そもそも洋学のよっておこりしその始を尋ぬるに、昔、享保の頃、長崎の訳官某、和蘭通市の便を計り、その国の書を読み習わんことを訴えしが、速やかに允可いんかを賜りぬ。
慶応義塾の記 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
法神流の允可いんかを受けるとともに、気楽流の拳法に達し、これを代々子孫に伝えて今日に至った。
女剣士 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
臣等請ふ、陛下、国家の為めに、国会を開設するを允可いんかして、以て臣等が、願に副へよ。
ふとお客様が金剛経をじゅするを聞いて開悟し、黄梅の五祖弘忍大師こうにんだいしのところへ行って米をいて允可いんかを受け、ついに達磨大師以来六代の伝衣でんえを受けて、法流を天下にいたこと
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
自分は都の者で、検校けんぎょう允可いんかも持っている。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
竜之助のは正式に允可いんかを受けた虚無僧ではないのです。
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)