催眠術さいみんじゅつ)” の例文
「いまってくるよ。だが、こんなきちがいじみたことにであうのは、生まれてはじめてだよ。ぼくは催眠術さいみんじゅつにかかっているのかな?」
ふたりは、まるで催眠術さいみんじゅつでもかけられたように、夢ごこちで、言われるままに、ドアをひらいて、中にはいり、もとのようにそれをしめました。
虎の牙 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
たぬきが人を婆化ばかすと云いやすけれど、何で狸が婆化しやしょう。ありゃみんな催眠術さいみんじゅつでげす……」
琴のそら音 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
僕は、まるで催眠術さいみんじゅつにかかりでもしたような状態で、廃墟はいきょの丘をのぼっていった。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いまでは腹部截開ふくぶせっかいの百たびうちることは一度位どぐらいなものである。梅毒ばいどく根治こんじされる、その遺伝論いでんろん催眠術さいみんじゅつ、パステルや、コッホなどの発見はっけん衛生学えいせいがく統計学とうけいがくなどはどうであろう……。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
アラビヤ夜話やわの時代のこととでも言いましょうか。私がハッサン・カンから学んだ魔術は、あなたでも使おうと思えば使えますよ。高が進歩した催眠術さいみんじゅつに過ぎないのですから。——御覧なさい。
魔術 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)