健康じょうぶ)” の例文
いつもの将軍家の寝室に、紛失したはずの将軍家が、ひどく健康じょうぶそうな顔色をして、グッスリ寝込んでいたものである。
銅銭会事変 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そのうち健康じょうぶにさせて手もとで養うことにしたいと尼君は願っているのであるが、いつまでも寝たままで起き上がれそうにもなく、重態な様子でその人はいたから
源氏物語:55 手習 (新字新仮名) / 紫式部(著)
現に浪のおとっさんもあんな健康じょうぶかたですし、浪の妹——はああのおこまさんです——あれも肺のはの字もないくらいです。人間は医師いしゃのいうほど弱いものじゃありません、ははははは
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
けれども、着がえのなさか、幾度も水をくぐったらしく、ひじ、背筋、折りかがみのあたりは、さらぬだに、あまり健康じょうぶそうにはないのが、薄痩うすやせて見えるまで、その処々色がせて禿げている。
瓜の涙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お前が健康じょうぶになってくれさえすれば、どこからか二千円ばかり算段して来て、下駄の卸問屋おろしどんやをして、自分で卸してまわるのに……と云うておりましたが、それも今は夢になってしまいました。
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
(アア健康じょうぶそうになったな)
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
股の附け根の奥の方から、円く曲げられた膝頭まで、何んと張り切った健康じょうぶそうな肉が、ムックリ盛り上がっていることだろう。そこへ小柄こづかを落としたなら、ピンとね返るに相違ない。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)