俚歌りか)” の例文
お光はものいわぬさきに先ず歌ったと云っても宜い位だ。何を歌うのか。よく此島で歌う俚歌りかではない。
漁師の娘 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
といふがありしと覺ゆ「鴨ぞ鳴くなる川よどにして」の古歌に心は同じにして只俗なるのみ俗なるゆゑ人に通ず俚歌りかは輕んずべきものにあらずと昨夜ゆふべに懲りて此夜は眞面目なり
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
しばしば見かえりて何かことばをかけんとして思いかえして行く老人あり、振りかえりながら「死して再び花は咲かず」と俚歌りかを低声に唄うてあんに死をとどむる如くいましめ行く職人もあり。
良夜 (新字新仮名) / 饗庭篁村(著)
浜のはうを望めば、砂洲さしう茫々ばう/″\として白し。何処どこやらに俚歌りかうたふ声あり。
花月の夜 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)