佐理さり)” の例文
翰墨かんぼくの書は空海くうかい道風とうふうを去ること遠からず、佐理さりを四五年前に失ったばかりの時代の人であったのである。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
王羲之おうぎしもいれば、褚遂良ちょすいりょうもいる、佐理さり道風とうふうもいるし、夢酔道人もくだを捲いている。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
空海くうかい道風どうふう佐理さり行成こうぜい——私は彼等のいる所に、いつも人知れず行っていました。彼等が手本にしていたのは、皆支那人の墨蹟ぼくせきです。しかし彼等の筆先ふでさきからは、次第に新しい美が生れました。
神神の微笑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
日和ひよりのいい時、気分の晴れた時には、日当りのいい書斎の、窓の明るい、机のきれいな上に、佐理さり行成こうぜいだの、弘法大師だの、或いはまた羲之ぎし献之けんしだのを師友としているところを見れば
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)